太田胃散
太田胃散

胃腸の話

胃腸の不調にはどんなタイプがあるのか、症状は何が原因で起こるのか。よくあるケースについて症状と原因を解説します。いち早く適切な対処をするために、ぜひお読みください。

胃腸の症状を知ろう!

胃腸の病気を知ろう!

胃腸の細菌を知ろう!

胃腸の症状を知ろう
胃もたれ
食後時間が経っても胃が重い、胃の中に何かが残っていて不快、といった症状が「胃もたれ」です。
胃の機能が低下していたり、食べ過ぎてしまったりすると、食べたものがなかなか十二指腸に排出されずに胃の中に滞ってしまうことで起こります。
胃もたれ

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胸やけ
みぞおちから胸部にかけてのチリチリと焼けるような感覚を「胸やけ」といいます。胃液(胃酸)が食道に逆流し粘膜が炎症したり、痙攣(けいれん)したりすることで起こります。
胸やけ

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胃痛
みぞおちの辺りの痛みが「胃痛」です。痛みの種類は、シクシク、ズキズキ、締め付けられるような痛みなど様々です。
胃の攻撃因子(胃液(胃酸))と防御因子(胃粘液)のバランスが崩れ、胃粘膜が傷つけられることによって起こる痛みと、胃の運動が激しくなりすぎて強い収縮が生じてけいれん(痙攣)するために起こる痛みがあります。
胃痛

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吐き気(むかつき・悪心)・嘔吐
みぞおちから胸にかけてムカムカし、嘔吐が起こりそうな感覚を「吐き気(むかつき・悪心)」といいます。脳の嘔吐中枢が刺激されることで吐き気が起こり、ときには嘔吐してしまうこともあります。
吐き気(むかつき・悪心)・嘔吐

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膨満感
食べ物が滞ったり、ガスが溜まることによって、胃腸が膨らんで、張りを感じたり苦しいと感じるのが「膨満感」です。
膨満感

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食欲不振
「食欲不振」とは、食べ物を食べたいという欲求が低下したり、なくなってしまった状態のことです。
あらゆる病気において、多かれ少なかれみられる症状です。
食欲不振

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軟便・下痢
「軟便」は通常より少し便が柔らかい状態、「下痢」は便が液状かそれに近い状態のことです。
軟便・下痢は、大腸を内容物が通過するのが速すぎて腸管で水分吸収がうまく行われない時、または腸の粘膜からの水分分泌が過多になった時に起こります。
軟便・下痢

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便秘
便が硬い、便の量や排便の回数が少ない、排便するのがつらい、といった状態を「便秘」といいます。
排便のリズムは人によって異なるため、便秘には明確な診断基準はなく、毎日排便があっても自分自身で便秘だと感じた場合は便秘症となります。食べた物は消化され、通常2~3日で排出されるので、これ以上排便が遅れた場合が便秘かどうかの目安になります。
便秘

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急性胃炎・慢性胃炎
胃粘膜に炎症が起こる病気です。急性に生じる胃粘膜の炎症(急性胃炎)と慢性的な胃粘膜の炎症(慢性胃炎)があります。
胃の攻撃因子(胃液(胃酸))と防御因子(胃粘液、アルカリ性の物質)のバランスが崩れたときに発症します。特に高齢者では胃液(胃酸)から胃を守っている胃粘液やアルカリ性の物質の分泌が減ってしまうため、発症しやすくなります。
原因
急性胃炎は様々な要因によって引き起こされますが、大きく外因性と内因性に分かれます。外因性の原因は、食べすぎ飲みすぎ、香辛料の摂りすぎ、鎮痛薬の服用など胃に負担のかかる食事や薬剤の摂取によるものです。内因性の原因は、細菌やウイルスによる感染性の胃炎、精神的なストレスなどがあります。
慢性胃炎の原因の多くはピロリ菌の感染です。さらに、食生活や精神的なストレスなどの要因が加わって進行が早まると考えられています。
あらわれる症状
膨満感 / 胃痛 / 胸やけ / 吐き気・嘔吐 / 胃もたれ / 食欲不振
胃腸の病気を知ろう!
神経性胃炎
神経性胃炎はストレスが原因で生じる胃炎です。飲みすぎ・食べすぎ・薬の服用など胃の負担になるような原因がなく、胃痛や胸やけなどの症状がある場合は神経性胃炎であることが考えられます。ストレスがたまると自律神経が乱れ、胃液(胃酸)の分泌が過剰になったり、胃の血流が悪くなることで粘膜の修復力が弱まり、胃炎を発症しやすくなります。
原因
悩み、不安、緊張などによる精神的なストレスや、疲労などの肉体的なストレスにより自律神経のバランスが崩れることで起こります。
あらわれる症状
膨満感 / 胃痛 / 胸やけ / 吐き気 / 嘔吐 / 胃もたれ / 食欲不振
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胃・十二指腸潰瘍
潰瘍とは組織の一部がなくなってしまった状態のことです。潰瘍のできる場所により、胃潰瘍、十二指腸潰瘍といいます。胃潰瘍は中高年に多く、十二指腸潰瘍は20~30代に多い病気です。
本来、食べ物を消化するためにある胃液(胃酸)や消化酵素が、自分自身の粘膜や組織を消化してしまうことで潰瘍ができます。胃の攻撃因子(胃液(胃酸))と防御因子(胃粘液、重炭酸塩)のバランスが崩れたときに発症します。特に高齢者では胃粘液や重炭酸塩の分泌が減ってしまうため、発症しやすくなります。
原因
ピロリ菌が深くかかわっていると言われ、胃・十二指腸潰瘍の方の8割以上がピロリ菌に感染しています。そのほか、強いストレスや鎮痛薬の長期の服用なども胃液(胃酸)の分泌を増加させ、胃・十二指腸潰瘍を発症する原因になります。
あらわれる症状
みぞおちの痛み(胃潰瘍は食後、十二指腸潰瘍は空腹時に痛む) / 胸やけ / 腹部膨満感 / 吐き気・嘔吐
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胃食道逆流症(GERD)
食道に酸性の胃内容物が逆流することにより様々な症状が起こる病気です。内視鏡で食道粘膜に炎症(食道炎)がみられる場合もありますが、症状はあっても炎症はみられない場合もあります。GERDのうち食道炎がみとめられるものを「逆流性食道炎」といいます。GERDは胃から食道への逆流を防ぐはたらきをする下部食道括約筋(LES)の弛緩により起こるため、LESの力が弱まっている高齢者に多い病気です。
原因
逆流の原因は大きく分けて①生活習慣、②体型、③その他の3つに分けられます。①生活習慣では、食べすぎや早食い、脂肪の多い食事、アルコール、食べてすぐ寝ることなどが逆流を起こしやすくします。②体型では、お腹に圧力のかかりやすい体型の方、つまり背中の曲がっている高齢者、お腹が出ている肥満の方や妊婦の方は逆流が起こりやすくなります。また、お腹を締め付ける服装や、前かがみの姿勢も逆流が起こりやすくなります。③その他の原因としては、狭心症の治療薬、高血圧の治療薬などの一部の薬には食道の平滑筋を弛緩させるものがあり、逆流が起きやすくなります。
あらわれる症状
胸やけ / つかえ感 / 胸痛 / のどの違和感 / しわがれ声 / 喘息様症状
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機能性ディスペプシア(FD)
胃もたれやみぞおちの痛みなどの症状が慢性的にあるにもかかわらず、内視鏡検査を行っても症状の原因となるような病気(逆流性食道炎や胃潰瘍など)がみつからない病気です。以前は機能性ディスペプシアの患者さんは「慢性胃炎」や「神経性胃炎」というような病名がつけられていましたが、本来「胃炎」というのは胃粘膜に炎症が起きている病気のことを指すため、症状があっても炎症などがみられないこの病気は、新しく「機能性ディスペプシア」と呼ばれるようになりました。
原因
原因ははっきりとはわかっていませんが、精神的なストレスや疲労などの肉体的なストレスが影響を与えているといわれています。ストレスに加えて、不規則な食生活や脂肪の多い食事、アルコール、タバコなども症状を引き起こす誘因となります。
あらわれる症状
食後の胃もたれ / 食欲不振、早期膨満感(食事を始めてすぐにお腹がいっぱいになったと感じること) / 心窩部痛(みぞおちの痛み) / 心窩部灼熱感(みぞおちが焼けるような感じ)
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胃下垂・胃アトニー
「胃下垂」とは、胃が正常な人より下がっている状態で、やせた人や高齢者に多く見られます。胃下垂だけの場合ほとんど症状はありませんが、胃の筋肉の緊張がゆるんで、胃のはたらきが低下してしまう「胃アトニー」になると、胃もたれ、食欲不振などの症状があわわれます。胃下垂や胃アトニーは最近では機能性ディスペプシア(FD)の中のひとつと考えられています。
原因
胃下垂はやせ型の方に多く見られます。また、出産経験の多い女性も胃下垂になりやすいといわれています。胃アトニーの原因の一つに、食べ物の量に応じて胃を進展することができず、胃のキャパシティが足りなくなってしまう(適応性障害)ことがありますが、これは更年期のホルモンバランスの乱れが関係していることもあると考えられています。
あらわれる症状
胃もたれ / 食欲不振
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過敏性腸症候群(IBS)
ストレスが原因で腹痛と下痢・便秘などの便通異常が慢性的(1カ月以上)に持続する病気です。症状を説明できる腹部の病気がなく、排便により腹痛が改善することがこの病気の特徴です。最近患者数が増えている病気で、特に20~30歳代の方に多い病気です。症状により、下痢型、便秘型、交替型(下痢と便秘が交替であらわれる)に分類されます。
原因
原因ははっきりとはわかっていませんが、精神的なストレスや疲労などの肉体的なストレスにより、免疫機能のバランスが崩れてしまうことが影響を与えているといわれています。また近年では、腸内細菌のバランスの乱れが発症に影響していると言われております。ストレスに加えて、不規則な食生活や脂肪の多い食事、アルコール、タバコなども症状を引き起こす誘因となります。
あらわれる症状
たびたび下痢をする(下痢型) / 便秘が続く(便秘型) / 下痢したり便秘したり、症状が数日おきに交替する(交替型) / (排便により症状が改善される)腹痛、腹部不快感 / 膨満感
胃腸の細菌を知ろう!
ピロリ菌とは?
胃の中にすむ小さな菌
胃液はpH1の強酸性で、侵入した細菌のほとんどは死滅してしまうとされてきました。
しかし1983年、ピロリ菌という細菌が生きた人間の胃の粘膜から発見され、この常識が変わりました。
正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」 。
長さ約2.5μm(1μm<ミクロン>は1/1000mm)のらせん形の細菌です。
3~5本のべん毛をもっており、このべん毛をくるくると回しながら、胃の中を動き回っています。
非常に強いウレアーゼ活性(尿素を分解しアンモニアを作る働き)をもっており、作られたアンモニアが胃の粘膜を侵すとされています。
アンモニアで自分の回りを中和するので、強い酸を持つ胃の中でも生きることができます。

ピロリ菌

ピロリ菌が関係する病気
ピロリ菌は次のような病気の原因であったり、関連があることが示されています。
ピロリ菌を除菌することにより、これらの病気が治癒したり、再発の防止になります。
・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
・胃がん
・慢性胃炎
・機能性ディスペプシア(FD)
50代以上では約半数が感染
50代以上の方では約半数と高い感染率。
一方、40歳以下の方は10~20%と感染率が低くなっています。
ピロリ菌の感染経路は口からであると考えられおり、戦前戦後の衛生状態の悪い時代に、水などが原因で感染が広がり、上下水道の整備が進むに従って減少しています。